スキャナによるネガフィルムの
スキャン結果比較

(UPDATE 2008/11/26)

使用したネガは今から約20年前、番組の取材でペレストロイカ真っ最中のソ連(今はロシア)に行った際、
公園で催される青空市で撮影した物です。マトリョーシカと呼ばれるロシアの代表的な民芸品で、
大きな人形を開けると中から次々に小さな人形が出てきます。多い物になると50体くらい入っている物も
ありました。写真の物はピョートル大帝、レーニン、スターリンなど有名なロシアの代表的な政治家が
モチーフになっています。一番外側はもちろんあのゴルバチョフですが、いまはさらにエリツィン、プーチン
と続いているそうです。なかなかカラフルで、インテリアとしてもよかったのですが、結構高価だったため
購入はあきらめて写真だけ撮ってきました。

使用スキャナー デジタル効果 スキャン時間 サイズ 最高解像度 機種の説明
Nikon
Coolscan 5000ED 
Digital ICE 標準
Digital GEM 2
2分10秒 4076×2672
31.1MB
4000dpi フィルム専用スキャナー
現行機種
Nikon
Coolscan 5000ED 
Digital ICE 標準 1分25秒 4060×2664
30.9MB
4000dpi 同上
Nikon
Coolscan IV ED
Digital ICE 標準
Digital GEM 2
3分30秒 4072×2656
30.9MB
2900dpi フィルム専用スキャナー
一世代前の下位機種
Epson
GT-X800
Digital ICE 中
粒状低減 低
7分50秒
うち約2分は  
ウォームアップ
3944×2464
27.8MB
4800dpi フラットベッドスキャナー
旧機種
KONICA MINOLTA
DIMAGE Scan Elite 5400II
Digital ICE ON
Digital GEM 20
2分40秒 4070×2694
31.4MB
5400dpi フィルム専用スキャナー
廃番
Canon
PIXUS MP800
 
 
約4分 3072×2016
 
2400dpi プリンタ複合機
旧機種
Canon
PIXUS MP980
自動色補正
輪郭強調
4分50秒
うち50秒は 
ウォームアップ
4079×2687
28.4MB
4800dpi プリンタ複合機
現行の最高機種

最高画質はそれぞれ異なりますが、今回は IV ED の2900dpiにそろえました。
スキャン時間は2900dpiでの実時間ですが、時計による大まかな計測です。
なおキャノンのMP800は最高解像度が2400dpiなのでデータは参考程度のものです。
ニコンの機種はストリップフィルムアダプタによる自動スキャンですので、クロップは手動で
行っています。そのためサイズがそれぞれ微妙に異なっています。
デジタル効果については以下の通りです。
Digital ICE : 画像をスキャンする際、フィルム上の傷やゴミの影響を軽減する。
Digital GEM/粒状低減 : 画像をスキャンする際に、フィルムの粒状性ノイズを軽減する。
                 特にネガフィルムに有効
Digital ROC/退色復元 : 画像をスキャンする際に、退色したフィルムの色を復元する。今回は使用せず。


Canon MP980
キャノンのプリンタ複合機で2008年発売の
最高機種です。色がこってりと乗っていて
見た目はかなり鮮やかです。
パソコンを繋がずにプリンタ単体で
スキャンから印刷まで可能で、フィルム
からの印刷という意味では最高に便利
でしょう。
実売価格は今や2万円台まで下がっており、
一昔前の普及機の値段で買えてしまいます。
写真印刷としてはエプソンの方がやや定評が
ありますが、スキャナ部分の撮像素子がこの
機種以外は両社ともCCDからCISに
移行してしまったため、フィルムスキャンに
対応しているのはこの機種のみとなりました。
もちろんスキャナ単体ではあるのですが、
デジカメの普及でフィルムスキャンの需要が
なくなってきているのでしょう。
等倍サイズに拡大した画像です。
ベタっと色がのっているため、多少平板に
見えますが、ノイズは押さえられており、
ディテールもあまり損なわれていません。
フラットベッド型のスキャンとしては
かなり高画質だと言えます。
もちろん最新のデジカメに画質で比較するのは
酷ですが、古い資産の活用という意味では
良い選択でしょう。
単体で印刷もしてみましたが、モニターで見る
より落ち着いた自然な色彩だと感じます。
単体での印刷の他にメモリカードへの書き込み
など、多彩な機能満載で、フィルムスキャナの
新機種が期待できない現状ではベストと言える
かもしれません。
Epson X-800
エプソンのフラットベッドスキャナーによる
画像です。色合いもかなりよい具合ですが
少し赤みがかっているようです。
自動クロップで若干周囲が多めに切り
とられる傾向があるようです。
最高で24枚の連続スキャンが可能ですし、
最高解像度も4800dpiと高機能です。
実売価格も4万円程度とお手頃で、
さらに、大判サイズのフィルムにも対応
しているお買い得機種です。もちろん
フラットベッドですから通常の書類を
スキャンすることも出来ますので、これ
一台あると何かと便利でしょう。
ただし、Digital ICEを使用すると、ともかく
時間がかかります。手持ちのネガを全て
スキャンしようとすると、かなりの覚悟が
必要ですね。
等倍サイズに拡大した画像です。
デジカメで撮った写真に比べると
さすがに盛大にノイズがのっています。
よく見るとエッジに偽色がのっていたり
アンシャープマスクの影響か、ノイズが
見られたりします。普通はここまで
拡大しないでしょうから、問題はないと
思います。画素数としては1000万画素に
届こうかというものですから、A4プリント
程度でしたら全く問題ないでしょう。
最高画質の4800dpiでしたら2000万画素
を軽く超えてしまうので、まさにオーバー
クオリティですね。
Nikon Coolscan 5000ED
ニコンのフィルム専用スキャナーによる
画像です。エプソンに比べると少し青み
が強いようです。これはニコンのデジカメ
にも共通している傾向です。
この5000EDはニコンの現行スキャナの
中位機種で、2ラインパスによるスキャン
で高速スキャンを実現しています。
実売価格は12万円程度と高価です。
35mmフィルム専用です。
付属の35mmストリップフィルムアダプタ
SA-21をしようすれば、最高6コマの連続
スキャンが可能です。フィルムを差し込む
だけで自動ローディングしてくれるので
使い勝手は上々です。
下位機種に V ED があり、速度にこだわ
らなければ、ほぼ同等の画質が半額強
で手に入ります。
エプソンの画像に比べると明らかに
上質です。特にエッジに偽色やノイズ
がないのが一目でわかりますね。
Digital GEMの影響で若干ぼんやりした
感じもありますが、その分粒状感が
かなり低減されているので、ゆるめに
かけておくのがよいように思います。
Digital GEMをオフにした結果です。
かなりザラザラした画像です。
Digital GEMとDigital ROCを使用しないと
かなり作業時間が短縮されます。
フォトショップで自動カラー修正を行った
結果です。エプソンの画像に似た傾向の
色合いになりました。
Nikon Coolscan IV ED
Coolscan 5000EDは発売から既に1年半
以上経過していますが、その前機種である
4000EDの下位機種にあたるのが、この
Coolscan IV EDです。最高解像度が
2900dpiしかありませんが、使い勝手は
5000EDとほぼ同等です。
5000EDの画像に比べると明らかに
コントラストの低い眠たい画像となって
しまいました。
スキャン時間も5000EDの約1.5倍かかって
います。旧機種ですので仕方がないとも
いえますが、この差は小さくありませんね。
コントラストは低いものの、ノイズ等に
関しては結構優秀です。
エッジもきれいに出ています。
上の画像をフォトショップの自動レベル
補正で修正してみました。5000EDの画像
に非常に近いものとなっています。
ソフトによる修正を前提とした素材としては
十分なクォリティをもっていると言えます。
まだまだ現役として使えそうです。
KONICA MINOLTA DIMAGE Scan Elite 5400II
2005年の3月に発売された最新の
フィルムスキャナーです。ニコンに比べる
と明るめの結果となっています。色はかな
りくっきりしていて見栄えがします。
スキャンユーティリティーはニコンにもの
より多機能で使い勝手が良いように感じま
した。色かぶりの除去機能など結構いろい
ろと使えそうです。
難点はスキャン時の音が大きいことと、
ストリップフィルムをホルダに入れないと
スキャンできないことでしょうか。
プレビューの速さは特筆モノです。
価格が5000EDの半分くらいであることを
考えると、かなりお買い得といえそうです。
付属のフォトショップエレメントもニコンの
2.0に対して3.0と最新バージョンに
なっています。
5000EDの結果に比べると若干ノイズが
多めのような気はします。
もしかすると露出の設定で変わるかも
しれません。
コントラストが高いせいか黒が少しベタ
っとした感じになっています。

※コニカミノルタのカメラ部門はその後
 ソニーに吸収され、スキャナ部門から
 撤退しました。
CANON PIXUS MP800
2005年の秋に発売されたプリンタ
複合機です。通常のパソコンからのプリント
の他に、カードからのダイレクトプリント、
コピー、そしてスキャンと多機能を誇って
います。上位機種のMP950は解像度が3200dpi
ありますが、この機種は2400dpi止まりです。
連続スキャンも最高6枚までです。またホコリ除去
機能などの特殊な機能は搭載されていません。
まあ、フィルムスキャン機能はおまけ程度と
考えた方がいいかもしれません。
スキャン結果はどちらかというと少し暗めで、
立体感や透明感もいまひとつといった印象です。
しかし、この機種ではパソコンを介すること
なしに、液晶モニターで画像を確認しながら
その場で印刷することが可能です。結果は
かなりこってりした色合いでしたが、手持ちの
ネガを気軽にプリントするには最適かも
しれませんね。
やはりぼやっとした画像で表面の光沢感が
消えてしまっています。
輪郭強調はオフにしていますので、ざらつきは
あまりありません。服の紺色がべたっと塗り
つぶしたような感じがします。
いずれにせよそれなりの画像です。

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