スキャナによるネガフィルムのスキャン結果比較4

修学旅行 草千里 (熊本)

 かれこれ30年前の修学旅行で撮影したネガです。さすがにかなり退色しており、特に草の色などに鮮やかさが感じられません。
 今回はフィルムの退色を復元する機能であるDIGITAL ROCの効果を比較してみました。前回の実験でも比較はしているのですが、機種によって
効かせ具合を段階的に選べるので、それも合わせて比較しています。
 5000EDは0から100まで100段階選ぶことが出来ます。しかし実際には10段階くらいで使うことが多いでしょうから、今回は0、30、60、100の4段階で
スキャンしてみました。まずDIGITAL ROCを使わない設定でも多少色は濃く出ているようですが、全体に青かぶりが感じられます。これにDIGITAL ROC
を使ったところ、空の色は青さがなくなった代わりに、馬の背の赤い布と、馬の足下の草の色が目立って鮮やかになっています。馬や地面など茶色い
部分が多いせいか、全体的にはあまり彩度が上がっていないため若干不自然な感じも受けますが、まぁ許容範囲でしょう。これを100まであげて
しまうと空や背景の山などは色味を増しますが、それ以上に赤い布などがベタッと浮いてしまい気持ちの悪い画像になってしまいました。
 5400IIは0から5までの6段階で、今回使用したのは0、1、3、5の4段階です。この機種はDIGITAL ROCの使用、不使用の差が顕著で、使わない画像は
全体に色が薄く、茶色っぽい画なのに対し、1で使用した物では逆に全体的に暗い仕上がりになっています。3がその中でもましな方ですが、それでも
5000EDにくらべればコントラストの低い眠い画像です。5000EDのDIGITAL ROCを使っていない画像に近いように思われます。
 最後にX800ですが、これは退色復元のON/OFF、2段階しかありません。OFFの画像は彩度が低いながらもすっきりとした画像に見えますが、
ONの方はどうも青かぶりしてあまり効果があるようには見えません。さらに馬の背の布も青紫で実際の色合いとは異なっているような気がします。
 DIGITAL ROCは所詮電子的に色を推測して復元する物なので、元のフィルムの状態次第で結果は変わってくるでしょうが、その場合少しでも
対応度が広くとれるように効かせ具合が数段階に分かれている方が望ましいと思われます。
Nikon CoolScan 5000ED 5000ED + DIGITAL ROC 30
5000ED + DIGITAL ROC 60 5000ED + DIGITAL ROC 100
KONICA MINOLTA DIMAGE Scan Elite 5400II 5400II + DIGITAL ROC 1
5400II + DIGITAL ROC 3 5400II + DIGITAL ROC 5
Epson GT-X800 X800 + 退色復元

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